2023年9月24日
「信州 火山防災の日」(9月27日)の記念日登録証授与式が、長野県木曽町の木曽町文化交流センターで行われました。

「信州 火山防災の日」(9月27日)は2014年に長野県の御嶽山の噴火により多くの登山者が巻き込まれ甚大な被害がもたらされた日の日付に由来します。その記念日の制定記念シンポジウムが御嶽山麓の長野県木曽町の木曽町文化交流センターで開かれ、記念日登録証授与式も行われました。

シンポジウムではじめに参加者全員による噴火災害で亡くなった方々への黙とうをしたあと、阿部守一長野県知事や来賓の方々の挨拶があり、第1部では火山噴火予知連絡会の清水洋会長による「火山噴火の特徴と噴火予知の現状を踏まえた火山防災の課題」と題した講演と「御嶽山噴火災害の伝承と県内火山への波及拡大」をテーマとしたパネルディスカッションが阿部知事、名古屋大学の山岡耕春教授、御嶽山火山マイスターネットワークの澤田義春代表により行われました。
とくに阿部知事が御嶽山が噴火したときに各自治体や消防、警察、自衛隊の各組織がそれぞれの経験と知見を活かして全力で活動してくれたことに感謝の言葉を述べたのが印象的でした。そうした人たちとの連携がいつどこでどれほどの規模で発生するかわからない火山噴火では、事前の対策とともにとても大切であることを9年の時を経てもなお心に刻まれているんですね。
1991年6月3日に長崎県の雲仙普賢岳の噴火による火砕流の発生で40名以上の死者・行方不明者が出た火山災害のことを著書のために取材した者としては「火山に登るということは自分の命だけでなく、周囲の登山者、地元の人の命を危険にさらす可能性もあることを意識して、登山届は必ず提出してほしい」と地元の消防の人が呼び掛けていた言葉を思い出しました。

そして「信州 火山防災の日」の記念日登録証授与式に移り、一般社団法人日本記念日協会の加瀬清志代表理事(写真・左)から阿部守一長野県知事(写真・右)に記念日登録証が渡されました。加瀬代表理事は「記念日は歴史を記憶する最高の装置です。来年の御嶽山噴火災害10周年を前に長野県が『信州 火山防災の日』を制定されたことは災害を風化させないことと、継続的に火山防災対策に取り組む決意の表れと高く評価して認定登録させていただきました」との主旨で挨拶。阿部知事は「この記念日を多くの人に火山防災の意識をしっかり持ってもらう機会にしていただきたいと思います」と語りました。

そのあとは昼休憩を挟んで、長野県内の火山の研究体制発表に続き、第2部は火山との共生をテーマに、御嶽山地域における取り組みの紹介と、「過去の火山の伝承と火山防災教育から火山との共生を考える」としたパネルディスカッションというまさに信州の火山防災に関して多面的な視点で考察。「信州 火山防災の日」制定記念にふさわしい充実した内容のシンポジウムとなりました。
記念日登録証の授与式はひとつのセレモニーとしてメディアなどへのアピール的に行われることが多いのですが、今回は記念日の主旨を深めて広げる学びの場となった授与式でした。